(目的)
第一条: この法律は司法書士の制度を定め、その業務の適正を図ることにより、登記、供託及び訴訟等に関する手続の適正かつ円滑な実施に資し、もつて国民の権利の保護に寄与することを目的とする。
(職責)
第二条: 司法書士は、常に品位を保持し、業務に関する法令及び実務に精通して、公正かつ誠実にその業務を行わなければならない。
(業務)
第三条: 司法書士は、この法律の定めるところにより、他人の依頼を受けて、次に掲げる事務を行うことを業とする。
4
法務大臣は、第二項第一号の研修の適正かつ確実な実施を確保するために必要な限度において、当該研修を実施する法人に対し、当該研修に関して、必要な報告若しくは資料の提出を求め、又は必要な命令をすることができる。
5
司法書士は、第二項第二号の規定による認定を受けようとするときは、政令で定めるところにより、手数料を納めなければならない。
6
第二項に規定する司法書士は、民事訴訟法第五十四条第一項本文(民事保全法第七条又は民事執行法第二十条において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、第一項第六号イからハまで又はホに掲げる手続における訴訟代理人又は代理人となることができる。
7
第二項に規定する司法書士であつて第一項第六号イ及びロに掲げる手続において訴訟代理人になつたものは、民事訴訟法第五十五条第一項の規定にかかわらず、委任を受けた事件について、強制執行に関する訴訟行為をすることができない。ただし、第二項に規定する司法書士であつて第一項第六号イに掲げる手続のうち少額訴訟の手続において訴訟代理人になつたものが同号ホに掲げる手続についてする訴訟行為については、この限りでない。
8
司法書士は、第一項に規定する業務であつても、その業務を行うことが他の法律において制限されているものについては、これを行うことができない。
(資格)
第四条: 次の各号のいずれかに該当する者は、司法書士となる資格を有する。
(欠格事由)
第五条: 次に掲げる者は、司法書士となる資格を有しない。
(試験の方法及び内容等)
第六条: 法務大臣は、毎年一回以上、司法書士試験を行わなければならない。
2
司法書士試験は、次に掲げる事項について筆記及び口述の方法により行う。ただし、口述試験は、筆記試験に合格した者について行う。
3
筆記試験に合格した者に対しては、その申請により、次回の司法書士試験の筆記試験を免除する。
4
司法書士試験を受けようとする者は、政令で定めるところにより、受験手数料を納めなければならない。
(司法書士試験委員)
第七条: 法務省に、司法書士試験の問題の作成及び採点を行わせるため、司法書士試験委員を置く。
2
司法書士試験委員は、司法書士試験を行うについて必要な学識経験のある者のうちから、試験ごとに、法務大臣が任命する。
3
前二項に定めるもののほか、司法書士試験委員に関し必要な事項は、政令で定める。
(司法書士名簿の登録)
第八条: 司法書士となる資格を有する者が、司法書士となるには、日本司法書士会連合会に備える司法書士名簿に、氏名、生年月日、事務所の所在地、所属する司法書士会その他法務省令で定める事項の登録を受けなければならない。
2
司法書士名簿の登録は、日本司法書士会連合会が行う。
(登録の申請)
第九条: 前条第一項の登録を受けようとする者は、その事務所を設けようとする地を管轄する法務局又は地方法務局の管轄区域内に設立された司法書士会を経由して、日本司法書士会連合会に登録申請書を提出しなければならない。
2
前項の登録申請書には、前条第一項の規定により登録を受けるべき事項その他法務省令で定める事項を記載し、司法書士となる資格を有することを証する書類を添付しなければならない。
(登録の拒否)
第十条: 日本司法書士会連合会は、前条第一項の規定による登録の申請をした者が司法書士となる資格を有せず、又は次の各号のいずれかに該当すると認めたときは、その登録を拒否しなければならない。この場合において、当該申請者が第二号又は第三号に該当することを理由にその登録を拒否しようとするときは、第六十七条に規定する登録審査会の議決に基づいてしなければならない。
2
日本司法書士会連合会は、当該申請者が前項第二号又は第三号に該当することを理由にその登録を拒否しようとするときは、あらかじめ、当該申請者にその旨を通知して、相当の期間内に自ら又はその代理人を通じて弁明する機会を与えなければならない。
(登録に関する通知)
第十一条: 日本司法書士会連合会は、第九条第一項の規定による登録の申請を受けた場合において、登録をしたときはその旨を、登録を拒否したときはその旨及びその理由を当該申請者に書面により通知しなければならない。
(登録を拒否された場合の審査請求)
第十二条: 第十条第一項の規定により登録を拒否された者は、当該処分に不服があるときは、法務大臣に対して行政不服審査法(昭和三十七年法律第百六十号)による審査請求をすることができる。
2
第九条第一項の規定による登録の申請をした者は、その申請の日から三月を経過しても当該申請に対して何らの処分がされないときは、当該登録を拒否されたものとして、法務大臣に対して前項の審査請求をすることができる。
3
前二項の規定による審査請求が理由があるときは、法務大臣は、日本司法書士会連合会に対し、相当の処分をすべき旨を命じなければならない。
(所属する司法書士会の変更の登録)
第十三条: 司法書士は、他の法務局又は地方法務局の管轄区域内に事務所を移転しようとするときは、その管轄区域内に設立された司法書士会を経由して、日本司法書士会連合会に、所属する司法書士会の変更の登録の申請をしなければならない。
2
司法書士は、前項の変更の登録の申請をするときは、現に所属する司法書士会にその旨を届け出なければならない。
3
第一項の申請をした者が第五十七条第一項の規定による入会の手続をとつていないときは、日本司法書士会連合会は、変更の登録を拒否しなければならない。
4
前二条の規定は、第一項の変更の登録の申請に準用する。
(登録事項の変更の届出)
第十四条: 司法書士は、司法書士名簿に登録を受けた事項に変更(所属する司法書士会の変更を除く。)が生じたときは、遅滞なく、所属する司法書士会を経由して、日本司法書士会連合会にその旨を届け出なければならない。
(登録の取消し)
第十五条: 司法書士が次の各号のいずれかに該当する場合には、日本司法書士会連合会は、その登録を取り消さなければならない。
2
司法書士が前項各号に該当することとなつたときは、その者又はその法定代理人若しくは相続人は、遅滞なく、当該司法書士が所属し、又は所属していた司法書士会を経由して、日本司法書士会連合会にその旨を届け出なければならない。
第十六条司法書士が次の各号のいずれかに該当する場合には、日本司法書士会連合会は、その登録を取り消すことができる。
2
日本司法書士会連合会は、前項の規定により登録を取り消したときは、その旨及びその理由を当該司法書士に書面により通知しなければならない。
3
第十条第一項後段の規定は、第一項の規定による登録の取消しに準用する。
(登録拒否に関する規定の準用)
第十七条: 第十二条第一項及び第三項の規定は、第十五条第一項又は前条第一項の規定による登録の取消しに準用する。
(登録及び登録の取消しの公告)
第十八条: 日本司法書士会連合会は、司法書士の登録をしたとき、及びその登録の取消しをしたときは、遅滞なく、その旨を官報をもつて公告しなければならない。
(登録事務に関する報告等)
第十九条: 法務大臣は、必要があるときは、日本司法書士会連合会に対し、その登録事務に関し、報告若しくは資料の提出を求め、又は勧告をすることができる。